テーラー陶山

ここに書かれているのは、当店の歴史を掲載したものです。
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〒272−0826 千葉県市川市真間2−16−8
TEL : 047−324−1121 ・ FAX : 047−321−2281
店主 : 陶山 修達

創業 1925年(大正14年)
創業者:初代、陶山金之助が真間大門通り(真間2−22−7)にて開業した。尊敬する父金之助は神奈川県伊勢原の在、働き者で神参りをよくしていた母は神奈川県大磯の出身で7人の子供を育てた。父金之助はお酒は好きであったが謹厳実直なタイプであった。

創業の背景
 農家の次男であった金之助は尋常高等小学校卒業後、自立独立のため、手に職を付けるべく洋服仕立て職人の道を選んだ。1882年(明治15年)、市川の亀井洋服店に丁稚奉公人として入店し、10年の年季奉公を済ませ、その後職人として2,3年のお礼奉公をした後独立開業を考えていた。その矢先、関東大震災が起こって混乱の世となった。しかも、震源地に近い神奈川県伊勢原の実家が倒壊してしまった。実家の金之助の父から再建資金を送るように要請があったので、独立資金の内、かなりの金額を躊躇することなく実家へ送金した。

 このような事情があって独立開業は予定より遅れて1925年(大正14年)になった。創業の地は、大門通りの京成線北側で、市川で最初に商店街が生まれたところである。その商店街に行く途中、当時の大門通りは両側に木がうっそうと生い茂り、夜ともなると狸と思われる目が光っていたり、たまに追剥がでたという物騒な地域であった。
発展と戦争の時代
 震災後は洋服注文洋服店は繁忙を極め、1936年(昭和11年)、現在地に和菓子屋さんだった店舗を買い取り、洋服店に改装して営業を続けた。

 時代は、満州事変・支那事変・太平洋戦争と戦争への道を歩んだ。この間も背広の三つ揃いをはじめ、オーバーコート / モーニングコート / インバネスコート(とんび) / 角袖 / 和服コート / 学生服(男女) / 将校用軍服となんでもつくる洋服店として重宝された。しかし、太平洋戦争は激しさを増し、耐乏生活を強いられ、注文服の受注は少なくなっていった。職人さんも軍隊に入り、人手不足になった。当時、背広服に代えて軍服に似たデザインの国民服が奨励された。太平洋戦争の末期、金之助も軍需工場へ徴用工として勤めている。


 
書籍の表紙 設計図 ※) インバネスコート(とんび)・・・インバネスコートの発祥は、イギリスの(ネッシーで有名な)ネス湖に近いインヴァネスである。

インバネスコートは、燕尾服やタキシードと共に着用、また、イブニングコートにも着用されているが、本来はコートの下に着用するものである。そして、一般的なコートと異なり、袖を広げると袖元が分かれておらず、鳥のトンビの様に大きな羽のように見える。このことから、日本では“とんび”と呼ばれている。

出典 : 木村 慶市 「裁断研究 〜 A Study of Garment Cutting 〜」 日本毛織物新報社 大正15年12月15日 P140
戦後の発展
 1945年(昭和20年)8月に太平洋戦争が終わった。しかし、経済は大不況、食糧難の時代もあって、注文洋服どころではない時代が続いた。私(現・店主)はこの間、中学・高校生活の時代で東京府立三中から東京都立両国高校へと中高一貫の進学校で学び、1952年(昭和27年)に卒業した。同級生に島村宜伸文部・農林大臣、柿沢弘治外務大臣、直木賞作家半村良、天野等元代議士、大田淳夫元参議院議員がいて皆当店で洋服を作ってくれた。高校3年生のとき、父の熱望で学校の授業が終わると日暮里にあった東京洋服学校の裁断製図科の夜学へ3ヶ月通って製図裁断の基本を学んだ。学業と洋服の製図裁断の勉強がなぜか楽しくて充実した時期であった。

 そして、高校卒業後は父の元で洋服作りを教えてもらいながら、東京洋服学校の縫製科へも通って他の人の仕事の仕方を学ぶことに努めた。体型の異なるお客様一人ひとりの洋服をパーフェクトにお作りする職人技を身に付けてお客様に満足していただくこの職業の未来に大きな夢を感じた。そのために、洋服作りの諸先生の技術講習会には良く出かけていき、「ヨーロッパを見ずして洋服は語れない」とヨーロッパの洋服店、織物工場の視察も繰り返した。

 やがて、洋服業界の繁忙期が来て職人さんを増やしたり、青森県から集団就職の見習い従業員を集めたりで大忙しであった。そのような時1966年(昭和41年)私が33歳のときに父が死亡した。精神的に大きなショックであったが、営業面では数年前から注文をとることを行っていて、その5年前からも、裁断は父に代わりにやっていたので陶山洋服店の私の代への切り替えはうまくいった。「洋服店は一代」といわれ、一般的にはなかなか先代のお客様を引き継ぐことは難しいが、父の存命中に受注から製図、裁断、補正、仮縫い、縫製といろいろな体型にあった着やすい洋服を作る全工程を経験していたので、お客様の信頼を得ることができた。そのため、マイナスの影響を受けることはなかった。そして、お客様から新しいお客様をご紹介いただいて市川市内のみならず都内にもお客様が増えていった。
ヘンリープールでの集合写真 海外視察
 「ヨーロッパを見ずして洋服は語れない」とヨーロッパの洋服店、織物工場の視察を繰り返すなか、ロンドン・パリー・ローマでは有名洋服店の工房も見学した。ヨーロッパの注文服に多用されていたハンドステッチの洋服をつぶさに見ることができた。特に、イギリスのサヴィルロウ通りにある英国王室御用達、テーラー・ヘンリー・プールの工房を見学したり、パリのテーラー・テッド・ラピドスの工房も見せてもらった。その様な中で、業界新聞や業界雑誌「洋装」の取材を受けて座談会に出たり、記事の執筆を依頼されたこともある。

 一時期は外国のお客様が増えて、1ヶ月に30着ぐらいのご注文を受けたこともある。ビジネス、または、観光で来日した人たちで、外国の人が外国のお客様を紹介してくださったのである。お客様は、イギリス・オランダ・デンマーク・ノルウェー・スウェーデン・ドイツ・アメリカと多様な国にわたる。
片言の英語でのコミュニケーションではあったが、いい物を作る自信があったのでやっていけたのだと思うし、仕上がった背広に満足してくれたのでいい経験になったと思っている。

お店の特徴
   1 洋服店:仮縫い付きフルオーダーの専門店。伝統に培われたヨーロッパの感性豊かな洋服地を使用して、お客様のそれぞれの体型の違い(肥満体・猫背・肩上がり・肩下がり)をパーフェクトに御調整いたします。お一人お一人の型紙は大切に保存させていただいております。
   2 取り扱い生地:バルベラ / スキャンバル / ダンヒル / ゼニア / ドミニック・フランス / ドーメル / FINTEX / ミユキ ほか
   3 御仕立て種目:背広 / ジャケット / オーバーコート / モーニングコート / 婦人スーツ / インバネス(とんび) / ズボン
   4 その他:紳士服、婦人服の御仕立てや調製の他にもリフォームも承っています。

 
陶山洋服店の展示会
   1 注文服承り個展
      市川グランドホテル6Fで隔年に当店だけの個展を開催して当店の作品(背広・婦人ジャケット・インバネス)、輸入生地をそのつど発表展示して販促の一助となっている。この個展は2012年(平成24年)で10回目となり、20年の年月を重ねた。
広報は、顧客様へのDMと市川よみうり新聞へ広告を掲載している。

   2 共同展示会販売
      1967年以来、年2回の共同展示会販売を続けてきた。会場は、東京會舘・帝国ホテル・東京交通会館・銀座4丁目際の日産ギャラリーなどで行っています。

  
写真の準備をしています
特別展 第10回 「彩と個性」の様子
商店街再生への取り組み
 流通システムの大きな変化で商店の淘汰は急激に進んでいるが、現在も営業を続けている店舗は間違いなくお客様に支持されている。昨今、商店街全体としては残念な状況になっているが、遠くからのお客様を含めて、幅広いお客様に支持されている店舗も少なくない。
現在、商店街が少しでも再生できるように市川真間商店連合会として次のようなイベントを継続して行っている。
1 真間の里写真コンテスト
2 ほうずき市
3 七夕まつり
4 てこな祭り
5 年3回の福引売り出し
6 年2回(春・秋実施)のふれあい広場(一部交通規制)
7 キッズ習字展
8 毎月第1日曜日に日曜市の開催
 また、市川市真間は万葉集にも詠われている絶世の美女『手児奈伝説』で有名であり、歴史文化の豊かな場所である。手児奈は思いやりの心ねを持つ絶世の美女として万葉の時代から知られている。
商店街には「てこなの心ね」をモチーフにしたオブジェが商店街の2箇所に掲示されていたり、万葉集の草花に書家の揮毫(きごう)による万葉集歌を添えたプランターが商店街の36箇所に設置されている。

 今、近隣4商店街で真間商店連合会を構成しているが、各商店会ごとに生鮮3品のお店、または、複合店を持つという計画を進めていきたいと考えている。

千葉商科大学学生の活動
このところ、商大生が色々なイベントで積極的に協力してくださることに大変感謝している。

1 CUC 宅配・サービス
   買い物弱者が増えてきているために、買い物を代行する。また、高齢者が困難と感じる庭の草取り・部屋の模様替え・電球の取替え・パソコンの調整など、時代を先取りした活動は地域の人たちに喜ばれている。
2 道路の清掃
   街がきれいになることはお客様をもてなす基本で、大切なことであり、その支援は高齢化しつつある商店主にとってありがたいことである。
3 年間行事の手伝い
   行事の準備と後片付け、行事の応援など積極的に誠意を持って協力してもらい感謝している。また放送・パソコンの操作などの高度の技術をこなしてもらって大変助かっている。

千葉商科大学学生対象の割引制度
商大生と商店がコミュニケーションを深めるという趣旨で商大生に対して割引制度を行っている。
プレートを掲示してあるお店で買い物をするときに、商大生が学生証を掲示することでお店が思い思いのおまけをするようになっている。そのプレートのデザインは商大生の感性によってつくられたものである。

真間商店連合会会長 陶山 修達さんにインタビュー

2012年3月29日 作成 / 2011年12月17日 インタビュー

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